「なぜ あなたの会社はITで儲からないのか」 同友館

 まえがき 

 本書は、中小企業の経営者の方に、ITを活用して売上向上・コスト削減を実現していただく、つまり儲けていただくことを目的としています。経営者の方だけでなく、経営者を支援する立場の方にもきっとお役に立つと思います。

「経営にITを活用すべき」といわれてからもう何年も経ちました。ITバブルというのもありました。皆さんの会社にもパソコンなどのIT機器が導入されていると思います。

 でも、いかがでしょう、IT投資に見合った効果を得ていらっしゃいますか。十分効果が出るITの使い方をされていらっしゃいますか。今のITの使い方でいいか、気になられたことはありませんか。もっとITをうまく使ったら会社の業績が向上するのではないか、と思われたことはありませんか。

 本書は、ITをうまく使ったらどういうことができるか説明しています。本書により、ITを業務にどのように使うと効果的かご理解いただき、自社のIT化の現状と比べていただいて、今後どうIT化を進めれば業績が向上するか、その方法を見つけていただきたいと思います。

 「ITをうまく使えば業績が向上することはわかるが、どうもITのことはよくわからなくて・・」とおっしゃる経営者の方も多いと思います。

 経営者の仕事は、
@ビジョンをかかげ、
A経営戦略・事業計画を立案し、
Bその経営戦略・事業計画の効果と投資コストおよびリスクを勘案して実施を決断し、
Cその実施体制を確立して、
D実行し実際に業績向上に結びつけることです。

 ここでITをうまく活用した経営戦略・事業計画が実現できれば大きな業績向上が図れます。ただその実現にあたっての問題は、一般に経営者の方にとってIT関連の知識・情報は馴染みがないということです。中小企業の経営者の方のもともとの出身は製造や営業が多く、IT関連企業でない限りITに関する土地勘のようなものはありません。そのため、投資判断に自信が持てなかったり、導入・実行を人まかせする、というような状況になりがちです。

 しかし、新規店舗出店や工場の新規設備導入の投資においては、中小企業の経営者はその価値と投資コスト・リスクを自分で評価し、実際に導入の指揮をとっていらっしゃると思います。IT活用に関する投資も同様です。経営者にとってあるレベルのIT活用に関する知識・情報を身につけることは絶対に必要なことです。もちろんIT関連の知識・情報は多岐に渡り、必要なことを一度に理解することは不可能です。ただ少なくとも、業績向上のためにIT投資を検討されようとしている今、どういう知識・情報を理解しないといけないか、どういう項目を調査しないといけないか、ということが明確にわかる必要があります。本書でIT活用のための知識・情報の全体像をご理解いただくことにより、それが可能です。本書を、IT活用に関する整理された知識を身に付けるためのガイドブックとして、経営者の方に活用いただきたいと思っています。

本書の構成は以下のようになっています。



 本書は、Q&A形式になっていますので、とりあえず知りたい項目だけ読んでいただいてもかまいません。ただIT活用のための知識・情報の全体像をご理解いただくには、一度全体に目を通していただくのがよいと思います。本書で、どうやればITで儲けられるか、それをうまく実現するにはどうすればよいか、について大枠をご理解いただき、実際のIT化において調査・分析すべき対象を判断するのに役立てていただければ、と思います。

 この本を作成した「情報診断士の会」は、IT活用に関心のある中小企業診断士の有志が集まって作った会です。この本が中小企業の経営者の方、経営者を支援する立場の方の参考になり、中小企業の有益なIT活用実現に貢献できれば幸いです。